日産・スカイラインは、今でも車好きを中心に絶大な人気を誇る車種です。
30年以上も前のモデルが、今も中古市場で数千万円の超高値で取引されたりしています。
その頃のモデルに乗っていた身としては少々後悔の念もありますが、いまだに超高値で取引されているのは、嬉しくもあります。
ある意味で、中古価格はそのモデルの人気の根強さを測るバロメータで、新車価格との乖離が大きいほど成功したモデルと言えます。
歴代スカイラインの発売時の最高価格と最安価格を見ると、成功したモデルと失敗したモデルの違いも見えてきます。
今回は、スカイラインの歴代モデルの新車価格を振り返ってみましょう。
Contents
歴代スカイラインの最安価格と大卒初任給の比較
厚生労働省(旧労働省)は、1968年から大卒初任給の調査を行っています。
様々なメディアで登場しているので、聞き覚えのある方も多いでしょう。
テレビや自動車、不動産など、高額な耐久消費財の価格を実感するためによく使われます。
ここでも同様の方法で、歴代スカイラインの最安価格がどれほどだったのかを実感してみましょう。
*スカイラインの最安価格~1970年代までの動向
3代目C10型の発売が、まさに1968年です。
標準グレードより上で、ファミリー層の使用も想定した1500スポーティ・デラックスは69万4千円ほどだったようです。
大卒初任給は30,600円でしたから、約22.7倍です。
今ではファミリー層向けの自動車が月収の22.7倍では全く売れないでしょうが、当時はまだまだ不動産と並ぶ超高額商品だったのです。
続く4代目C110型の発売は1972年で、新車最安価格は89万円ほどでした。
大卒初任給は52,700円でしたから、約16.9倍で、まだまだ高嶺の花です。
流れを大きく変えたのが1977年発売の5代目C210型で、4気筒エンジンのセダンの最安価格が108万円ほどでした。
大卒初任給は101,000円でしたから、約10.7倍と一気にリーズナブルになります。
今の感覚で考えても、コンパクトカーや軽自動車の新車に手が届くレベルです。
これは、スカイラインのコスパが改善したことに加え、大卒初任給も上がったためです。
*スカイラインの最安価格~1980年代の動向
手が届きやすくなったスカイラインでしたが、1981年に発売された6代目R30型の最安価格は172万円ほどと、一気に高額化します。
大卒初任給は120,800円でしたから、約14.2倍です。
当時はバブル期の前夜という時代の空気を反映してか、プチ富裕層のステータスシンボルとして、大衆車と高級車の中間的存在であるハイソカーのニーズが高まっていました。
スカイラインもその流行に乗っかってしまい、結果的に若者は手が出せなくなりました。
その失敗を意識してか、1985年に発売された7代目R31型では、最安価格が150万円ほどとなります。
大卒初任給は140,000円ちょうどでしたから、約10.7倍に抑えられたわけです。
若者にも手を届きやすくするコスパの改善はその後も継続し、スカイラインに黄金時代をもたらします。
*スカイライン黄金時代の3モデルの最安価格
歴代スカイラインの中で、今も根強い人気を誇る筆頭格が、1989年に発売された8代目R32型です。
当時はまだMT車も多かったのですが、現在の傾向に合わせてAT車の最安価格を見ると、GXiの149万7千円です。
大卒初任給は160,900円まで上がっていたので、とうとう10倍を切って約9.3倍となりました。
コスパを究極まで改善し、若者の手にも届きやすくしたことこそ、根強いファンを生んだ1つの要因でしょう。
1993年に発売された9代目R33型になると、AT車の最安価格がGTSの209万5千円で、やや割高になりますが、それでも大卒初任給は190,300円まで上がりましたから、約11倍に抑えられました。
そして黄金時代の最後を飾る10代目R34型は1998年に発売され、AT車の最安価格はGTの219万5千円でした。
大卒初任給は195,500円でしたから、やはり約11.2倍に抑えられました。
このように、歴代スカイラインの中で根強い人気を誇るモデルは、いずれも価格が抑えられ、最安モデルであれば若者の手も届いたことが大きかったと言えます。
歴代スカイラインの最高価格と中古相場は連動している?
21世紀に入ると、スカイラインの人気は一気に低迷します。
ここからは、11代目以降の最安価格を見たうえで、歴代スカイラインの最高価格も見ておきます。
それにより、中古相場の方がスカイラインへの正当な評価を反映していることがわかるでしょう。
*スカイライン低迷の原因は「高い」最安価格?
スカイライン低迷の呼び水となった11代目V35型の発売は2001年ですが、最安価格は250GTeの265万円でした。
大卒初任給は198,300円でしたから、約13.4倍です。
ハイソカーと呼ばれた6代目とほぼ同水準であることからも、高級車化は明らかです。
続く12代目V36型の発売は2006年で、最安価格は250GTの279万3千円でした。
大卒初任給は199,800円でしたから、約14倍に拡大しました。
そして、2014年に発売された13代目V37型で、スカイラインの高級車化は決定的となります。
大卒初任給が198,000円に下がった中、最安価格は250GT-tの383万4千円であり、実に約19.4倍となりました。
2019年のビッグマイナーチェンジ後、ついに最安価格はGTの427万4千円あまりとなりました。
大卒初任給は210,200円で、20万円を超えたものの、差は約20.3倍となり、もはや若者の手は届かない価格となりました。
開発責任者が宣言した通り、もはや中流以下の購買層は相手にしていないことが鮮明となりましたが、それこそスカイライン人気低迷の要因でしょう。
*中古市場のスカイラインは今も元気!
ここまでは歴代スカイラインの最安価格に注目してきましたが、最高価格はどうなのでしょう?
もちろん言うまでもありませんが、スカイラインの新車価格が最も高騰しているのはまさに今で、スカイライン・ニスモの価格帯は最安で780万円ほど、最高は950万円ほどと桁違いになっています。
それでは、中古市場でも最新モデルほど最高価格をつけているのでしょうか?
実態は全く異なり、中古市場で900万円前後をつけているのは、同じニスモでも8代目R32型のGT-Rニスモです。
中古市場で数千万円レベルの最高価格をマークしているのは、2023年10月1日時点で、3代目C10型か10代目R34型のGT-Rです。
GT-Rは歴代スカイラインの最高グレードでしたが、今でも人気は衰えず、新車価格の10倍以上という超高値で取引されています。
つまり、最高価格を人気のバロメータとするなら、新車ではなく中古のスカイラインを見るべきということになります。
スカイラインの歴代の価格とは?【まとめ】
今回は、スカイライン歴代モデルの価格と人気の関係を考察しました。
1つ目の結論として、若者の手にも届きやすい最安価格が設定されていた頃のスカイラインは、今も絶大に支持されているということです。
頑張れば手に入れられた頃のスカイラインに愛着を感じている車好きは、今も多いはずです。
2つ目の結論として、最高価格を人気のバロメータにできるのは中古市場だということです。
スカイラインの場合、むしろ新車の最高価格を吊り上げるほどファンは離れていきました。
日産が、もし本気でスカイラインの人気復活をもくろむのであれば、高級車化路線を見直してはどうかというのがここでの結論です。