スカイラインR30型とR31型の違いを比較しよう!

日産・スカイラインは、言わずと知れた日産の人気車種です。

車好きの間では、今も超高値で取引されていますが、特定のモデルに人気が集中する傾向にあり、人気の差が中古価格の差にも直結しています。

特に、1980年代の6代目R30型と7代目R31型の人気は、それほどでもありません。

日本がバブル期に入ろうとしていた1980年代は、国民の自家用車へのニーズも変化し、スカイラインもアイデンティティーを模索していた時期に当たります。

そこで今回は、R30型とR31型を、その前後のモデルとの違いも意識しながら比較し、スカイラインにとっての1980年代を振り返りましょう。

スカイラインのr30とr31の違いとは?

*スカイライン高級車化の象徴だったR30型

スカイラインは、1989年に発売された8代目R32型から3代にわたって黄金時代を迎えます。

それと比較すると、R30型(1981年発売)とR31型(1985年発売)は目立ちません。
そこには、スカイラインのコンセプト変更がからんでいます。

*スカイラインは昭和時代にも高級車になっていた?

直前の5代目C210型では、価格がかなり抑えられたTIシリーズが設定されるなど、お得感を意識したグレードが設定されていました。

そのためか、当時「全盛期」を迎えつつあった暴走族にとっては、4代目C110型とともにうってつけの改造対象となり、だいぶスカイラインのイメージダウンに貢献しました。

そうした経緯を意識してか、スカイラインが一気に高級車化したのがR30型です。

アメリカの俳優ポール・ニューマンをCMに起用するなど、今日で言うセレブ感を演出したモデルです。

バブル期直前に当たる当時、プチ富裕層を中心にちょっと高級なハイソカーの需要が高まっており、スカイラインもその流れに乗ったわけです。

今や高級車と化したスカイラインですが、昭和時代にも1度高級車になりかかったということです。

*R30型と先代モデルの違いとは

R30型も先代と同じく、6気筒エンジンのGTシリーズと4気筒エンジンのTIシリーズの2本立てですが、新車価格は標準グレードでも50万円以上高くなりました。

途中マイナーチェンジが行われ、前期型と後期型に分けられますが、どちらにも共通するのは先代までの特徴だった「丸み」を徹底的にそぎ落とし、シャープさを出した点です。

また、後期型になるとヘッドライトやフロントグリルの変更に加え、大型バンパーが装着されるなどして重厚感が増し、「鉄仮面」の異名をとるようになります。

ただし、2000年代のスカイラインのようなネガティブな意味ではなく、新時代のスカイラインを予感させたというポジティブな意味です。

ターボエンジンを搭載したグレードは走りを重視する伝統的ファンも満足させるもので、TVドラマにも登場した影響か、今でもファンが多いモデルです。

その点で、同じ高級車化とは言っても、2000年代のスカイラインとは一線を画しています。

スカイライン黄金時代を準備したR31型

R30型はそれなりに成功したモデルと言えますが、続くR31型には一波乱ありました。

R31型では、R30型で足を踏み入れた高級車化路線が決定的となり、内装等を中心に豪華な装備を特徴としました。

ところが、そうしたコンセプトが走りを重視する伝統的ファンの反発を買ったのです。

結果的に、クーペの投入といったグレード変更を立て続けに迫られる結果となりました。

しかし、後になってみると、そうした批判的な意見は公平性を欠いていると認識されるようになり、今ではスカイライン黄金時代を準備したモデルとして評価されています。

*R30型からの変更点

R30型と比較すると大きな違いはないように見えますが、ピラーレスで非常に見通しがよく、開放感を感じられた点は大きな違いです。

つまり、走りよりも快適性を重視したと言われれば、その通りかもしれません。

そのほか、今日のインテリジェントキーの先駆けとも言えるカードキーの導入や、高級感を出した専用のホイールなど、高級車らしさを演出したのもその通りです。

これらの点に多少注意深く着目して比較すれば、違いは容易にわかります。

なお、パワートレインも強化されており、エンジンや操舵システムにおいても最新技術が盛り込まれるなど、走りを軽視していたわけではないという点は、R31型の名誉のために付け加えておきましょう。

*R32型以降に受け継がれた特徴

評判がかんばしくなかったR31型ですが、次代のR32型から続く黄金時代を準備した重要なモデルです。

第1に、スカイラインらしい形状・デザインをめぐる暗黙の合意を形成したことは間違いありません。

1990年代のスカイライン黄金時代に共通したシャープさの演出は、R31型で決定的になったと言えます。

そして第2に、スカイラインは若者を味方につけてこそ輝くということを逆説的に教えてくれたことです。

R30型から強まっていた高級車化路線はR31型で決定的になったわけですが、1つ付け加えておくべきなのは、R30型と比較して新車価格は抑えられたという点です。

それはコスパの改善によるものではありますが、スカイラインを価格面でも高級車化させてはならないという点は意識されるようになったと言えます。

スカイラインR30型とR31型の中古相場比較

すでに見たように、紆余曲折があったR30型とR31型ですが、後に正当に評価されるようになります。

ただ、発売当時の人気はそれほどでもなかったことから、中古市場に流通する台数は少なくなっています。

それだけにプレミアも付いていそうですが、ここでは最後にR30型とR31型の中古相場をのぞいてみましょう。

*R30型の中古相場

R30型ともなると、すでにクラシックカーの領域ですが、2023年10月5日時点で、某中古車検索サイトでは39台ヒットしました。

しかも、車両本体価格の最高値はターボGT-Eの1,250万円でした。

まさかR30型で1千万円超えがあるとは思っていなかったので、正直驚きました。

また、車両本体価格の平均は約315万6千円だったので、決して叩き売りされているわけでもありません。

ターボエンジンを搭載したグレードを中心に、今もそれなりの需要があるようです。

*R31型の中古相場

R31型は、すでに見たように発売当時の評判は一層かんばしくなかったわけですが、スカイライン黄金時代を準備したモデルとして、後から評価されるようになりました。

こちらも検索すると42台ヒットし、車両本体価格の最高値はトミーカイラM30というグレードの925万円でした。

R30型の最高値にはかないませんでしたが、平均は310万2千円でしたので、ほぼ互角です。

ただ、R30型にしてもR31型にしても、最高値と平均の乖離は大きいので、グレードによる人気の差はあるようです。

スカイラインのr30とr31の違いとは?【まとめ】

スカイラインがいくら人気車種とはいえ、R30型とR31型を思い浮かべることは、よほどのマニアでないと無理なはずです。

今見ても決して悪くはないのですが、確かに特徴や違いがわかりづらくもあります。

しかし、前後モデルと比較すれば明らかですが、デザインにおける高級感・重厚感・シャープさのバランスは絶妙で、ただ高級なだけの2000年代のスカイラインとは大きく違います。

R30型とR31型は目立たないモデルですが、スカイライン黄金時代を準備した、間違いなく重要なモデルなのです。