アウディは、メルセデス・ベンツやBMWと並び、ドイツの3大高級車ブランドに数えられます。
この事実だけをもって、アウディを単体の企業体と誤解する方が日本には多い現状です。
アウディは、フォルクスワーゲングループの傘下企業です。
アウディで用いられている技術のルーツをたどると、実はフォルクスワーゲンで実証済みという場合も少なくありません。
そうなると、いくらアウディが高級車ブランドとは言え、「いったいフォルクスワーゲンとの違いは?」と言いたくなるのも当然です。
そこで今回は、改めてアウディとフォルクスワーゲンを比較し、その関係や違いを整理しましょう。
わかったのは、何を重視するかでどっちも優れているという、ドイツ車の堅実さです!
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アウディとフォルクスワーゲンの関係とは?
フォルクスワーゲングループは、一時期はトヨタグループを抜いて世界最大の自動車連合に躍り出たこともあります。
今でも欧州最大の自動車連合です。
そうした巨大企業連合の中で、アウディとフォルクスワーゲンはどのような関係にあるのでしょうか?
*アウディとフォルクスワーゲンの役割分担
歴史を比較すると、古いのはアウディです。
純粋な私企業として始まったアウディに対し、フォルクスワーゲンはナチス・ドイツ肝いりの官製企業だったという負の歴史を持ちます。
そうした負の歴史は、第二次大戦後もフォルクスワーゲンを悩ませていました。
そんな折、ダイムラー・ベンツ(現在のメルセデス・ベンツグループ)から高級車部門を引き取り、しばらく消滅していたアウディのブランドを復活させたのです。
これにより、日本語で「国民車」とも訳されるフォルクスワーゲンは高級車ブランドを手に入れ、イメージ改善の糸口をつかんだのです。
フォルクスワーゲンと言えば、例のビートル(日本での通称はカブトムシ)が有名ですが、それに代わる人気車種をなかなか開発できませんでした。
そこに助け舟を出したのがアウディの技術陣であり、ビートルに代わる人気車種としてゴルフを開発したのです。
アウディの技術の高さは、当時から確立されていたことがわかります。
*アウディとフォルクスワーゲンの共通点
すでに見た経緯から、アウディは高級車、フォルクスワーゲンは大衆車というのが、一応の関係です。
しかし、今では両社の垣根が非常に低くなっており、ほぼ同じ技術を採用することが当たり前という関係にもなっています。
たとえば、TFSIと呼ばれるガソリンエンジンや、ターボチャージャー付きのTDIと呼ばれるディーゼルエンジンも、両社で共用されています。
エンジン技術の共用は、同じ企業連合に属する日産自動車と三菱自動車の間、あるいはトヨタ自動車とスバルの間という具合に、国産車メーカーでも当たり前になっています。
*アウディとフォルクスワーゲンの違い
同じ企業連合の中で技術の共用が進む場合、各社はどのように違いを生むのでしょうか?
たとえば、日産自動車と三菱自動車の軽自動車を比較すると、今や瓜二つという状況です。
恐らく、どんな専門家でも、エンジン音だけ聞かされてどっちがどっちだと判断するのは、極めて難しいと思います。
ついでに言えば、形状もそうです。
ところが、アウディとフォルクスワーゲンでは、同じエンジン技術を採用しているはずなのに、エンジン音がはっきり違います。
それは、たとえ同じエンジンを採用していても、その他のパワートレインでは独自の技術が守られているため、最終的に聞こえる音が違うからです。
さらに、形状(デザイン)はブランドの命ですから、何よりブランドを大切にする欧州の自動車メーカーが、形状まで似せるということは確実にあり得ません。
そこが、合理主義のために個性を失いつつあるアメリカや日本の自動車メーカーとの、大きな違いです。
アウディとフォルクスワーゲンを比較しよう!
アウディとフォルクスワーゲンは、同じ企業連合に属し、技術も共用していますが、はっきりした個性が守られています。
その個性を認識していれば、どっちを選ぶべきか迷った際の選択基準にもなるでしょう。
*どっちの方が優れている?
マイカーを選ぶ際は、やはり「優れている車種」を選びたいわけですが、アウディとフォルクスワーゲンは、切り口によってどっちも優れています。
エンジン技術は共用されているわけですから、それ以外の箇所を比較する必要があります。
そうすると、第1に注目したいのは走行性能です。
走行性能の点では、もちろんアウディの方が優れていると言えます。
全輪駆動システムquattroを始め、スムーズな走りを追求した技術が詰め込まれています。
それに対して、燃費の点ではフォルクスワーゲンに軍配が上がるという感じです。
たとえば、フォルクスワーゲンT-CrossやT-RocといったSUVを比較すると、アウディのQシリーズでは及ばないような燃費を実現しています。
つまり、何を重視するかで、コスパはどっちも優れているとしか言えません。
*どっちの方が人気?
どっちもコスパが優れているとすれば、いったいユーザーは何を決め手に決めたのでしょうか。
ユーザーの口コミを精査すると、やはりマイカーの使用目的に応じて選び分けているようです。
たとえば、日常的な通勤や買い物がマイカー使用の主な目的という方々には、フォルクスワーゲンの車種の方が人気のようです。
形状が国産車と同様に目立たず、日本人にも広くリーズナブルな車種と認識されていることもあって(現在では結構高級車なのですが…)、悪目立ちしないのです。
それに対して、アウディはドイツを代表する高級車ブランドと認識されていますから、やはり購入するのはドライブが趣味の、かなりの車好きになります。
形状も流麗で、街中の駐車場では結構目立ちますが、それはカッコよさの裏返しです。
ご自分はどっちの目的でマイカーを使用するかを熟考のうえ、決めるのがよいでしょう。
*世界と日本の違い
アウディとフォルクスワーゲンに関する日本での選択基準は、先に見た通り周囲の目を気にするものと言えます。
しかし、世界での選択基準は大きく違います。
アメリカの自動車批評等を見ると、「どんな場合でもフォルクスワーゲンの方が良い買い物とは言えない」「機能ではアウディ」といった論調が見られます。
また、母国のドイツでは詳細な比較が行われ、アウディの優れている点は馬力や品質、信頼性や安全性、そしてラインナップの豊富さだとされています。
他方のフォルクスワーゲンは、やはり新車価格や燃費等で優位だとされています。
このように、海外では、純粋にどっちが優れているかという点を冷静に判断しています。
周囲との調和を重んじる、あるいは同調圧力が強いといった日本人の特質は、マイカー選びにも影を落としているのかもしれません。
アウディとワーゲンの違いとは?【まとめ】
日本では、アウディとフォルクスワーゲンが同じ企業連合に属しているという事実すら、知らない方が結構います。
今回は、両社の関係の確認や比較から始めて、両社の違いを改めて洗い出してみました。
どっちを選ぶかは人それぞれですが、本文で見たような周囲の目を気にするマイカー選びは、ぜひともやめたいものです。
限られたカーライフを満喫するためにも、自分が納得する方を堂々と選びましょう!