アウディはドイツを代表する自動車メーカーです。
日本では、特に年配の方々を中心に、ドイツ車は丈夫というイメージが根強くあります。
昔は日本車の方がよく壊れるという評判だったのです。
ところが、今の若い人たちは国産品信仰の強い世代なので、日本車の方が丈夫で、ドイツ車の方が壊れやすいと思っているそうです。
アウディも例外ではなく、壊れやすい年式まで議論されているようです。
印象論はよくありませんので、今回は他のメーカーとも比較しながらアウディの故障率を検証します。
検証を進めると、大部分は印象論でしたが、確かに故障しやすい箇所というのはあるようなので、その対策もあわせて見ておきます。
Contents
アウディの故障率を徹底比較!
アウディの故障率だけを見ても、公平な検証はできません。
公平な検証のためには、他のメーカーや車種との比較が欠かせません。
*自動車の故障率はどのように把握されている?
国土交通省は、「自動車不具合情報ホットライン」という窓口を設けており、ユーザーの方々から寄せられたメーカーごとの不具合情報をまとめています。
日本車(国産車)に限らず、輸入車も同じ基準で評価されます。
一応は公平で客観的な資料と言えますが、2点ほど注意点もあります。
第1に、不具合情報には、設計・製造段階に起因するものだけではなく、整備不良や誤使用など、ユーザーに帰責性のある不具合も含まれているということです。
そのため、一見不具合が多そうでも、そもそも販売台数が多い場合には割り引いて考える必要があります。
第2に、あくまでユーザーの申告による不具合情報のため、国土交通省がその詳細や事実関係を確認しているわけではないということです。
そのため、必ずしもメーカーや車種に内在する欠陥ではないことにも注意が必要です。
これらの注意点はありますが、それらさえ心に留めておけば、Web上の口コミ等よりは、よほど信頼できるデータです。
*日本車と輸入車で違いはある?
2021年度、日本車では2,684件の不具合が報告されています。
日本車の保有台数に占める割合は約0.003%で、10万台に3台ということになります。
他方、輸入車では838件の不具合が報告されています。
輸入車の保有台数に占める割合は約0.018%で、10万台に18台ということになります。
輸入車が故障する確率を単純に求めれば、日本車の約6倍ということになります。
この数字だけを見ると、確かに日本車の方が丈夫な時代になったと言えそうです。
*アウディの故障率は本当に高い?
この記事で話題にしているアウディですが、輸入車の不具合件数に占める割合は約7.3%で、第4位です。
ここで、国土交通省が明らかにしているメーカー別の件数と、保有台数に占める割合を示しておきます。
・アウディ→61件(約0.019%)
・BMW→170件(約0.019%)
・メルセデス・ベンツ→118件(約0.016%)
・ボルボ→57件(約0.027%)
・プジョー→54件(約0.054%)
・その他→249件(約0.014%)
確かに、ドイツの3大高級車に限れば、アウディはBMWやメルセデス・ベンツより高いですが、他のメーカーに比べれば健闘している方です。
最近日本でも人気のボルボ(スウェーデン)は、北欧風の内装が売りですが、性能面ではドイツ車の後塵を拝しています。
プジョー(フランス)に至っては、大きく水を開けられています。
このように、輸入車に限れば、アウディはドイツ車の名誉を守っていると言えます。
アウディの壊れやすい年式と故障しやすい箇所
アウディは健闘していると言えますが、アウディに限定すればどうなのでしょうか。
つまり、壊れやすい年式や故障しやすい箇所というのは、あるのでしょうか?
*アウディに壊れやすい年式ってあるの?
先ほど参照した国土交通省の資料では、初度登録年別の故障率も整理されています。
そのため、メーカーごとには無理ですが、全体的な壊れやすい年式を探ることは可能です。
故障率は、2013年式から2016年式にかけて山を形成しますが、最新の2021年式にかけて再び増加するという線を描きます。
つまり、古いから故障しやすい場合もありますが、そうではない場合も多いということです。
さっそく、アウディの壊れやすい年式についてですが、明確なデータは公表されていません。
ただし、次のような傾向を抽出することはできました。
【傾向2】排ガス不正問題が表面化した2015年以前の年式で故障事例が多い
【傾向3】電動車e-tronの故障事例は、今のところ少ない
こうしたことから、アウディの場合、あえて壊れやすい年式を特定しようとすれば2015年以前の年式ということになります。
これは、国土交通省の資料の全体的傾向とも合致します。
*アウディの故障しやすい箇所ってあるの?
アウディに壊れやすい年式というのは、確かにあると言えそうです。
加えて、アウディ自慢のディーゼルエンジンに起因する部分も大きいでしょう。
ディーゼルエンジンは、自動車の故障しやすい箇所の代表例です。
国土交通省の資料を見ても、故障しやすい箇所としてはエンジン(原動機)が23.2%で最多となっています。
ディーゼルエンジンはもともと壊れやすいですし、リーズナブルな車種ほど搭載されていますので、傾向1とも合致します。
これらの事実から、アウディの故障しやすい箇所を挙げれば、エンジンという王道的な(?)答えになります。
*アウディを長持ちさせる対策
アウディには、確かに壊れやすい年式や故障しやすい箇所というのはありそうです。
前述した通り、日本車より故障しやすいという傾向は輸入車全般に共通しています。
輸入車が故障しやすい背景には、日本の環境に合わない事情があると言われています。
日本には、地形のアップダウンや四季の寒暖差が激しいという特徴があるからです。
そのため、アウディを含めた輸入車を長持ちさせる対策は、とにかく小まめなメンテナンスということになります。
壊れやすい箇所の代表がエンジンであることは前述した通りで、エンジンを長持ちさせる対策は、とにかくオイル交換です。
アップダウンの激しい地域では、特にエンジンを酷使するので、オイル交換は必須の対策です。
また、ディーゼルエンジンはアウディの自慢ですが、ディーゼルエンジンは寒冷な気候に弱いので、洗浄を含めた点検も重要となります。
アウディは技術が自慢ですので、必要な対策を行えば故障とは無縁になります。
アウディの壊れやすい年式とは?【まとめ】
今回は、アウディに壊れやすい年式はあるのかという議論をきっかけに、そもそも故障しやすい箇所や対策は何かというところまで検討しました。
結論としては、統計上、壊れやすい年式は確かに存在します。
しかし、それは単に古いからというわけではなく、複数の要因が絡み合った結果です。
古くても大事にしていれば長持ちしますし、新しくても雑に扱えば故障します。
アウディの場合、リーズナブルな車種になるほど故障事例も多いという話をしましたが、台数が多いという事情もあるでしょう。
いずれにしても、古かろうと新しかろうと、安かろうと高かろうと、必要な対策を行えば長持ちします。
必要なメンテナンスを心がけながら、輸入車の評判を覆してやりましょう。