アウディは、ドイツの自動車メーカーです。
戦後はほぼ一貫して、フォルクスワーゲン・グループの傘下企業です。
主に大衆車を製造するフォルクスワーゲンに対し、アウディは高級車の製造を担っていると言われることがあります。
しかし、近年ではフォルクスワーゲンが高価格の車種を発表したり、アウディが価格を抑えた車種を発表したり、両者の区別は多少曖昧になっています。
今や日本でも認知度は上がりましたが、昭和時代には「どこの国の車?」という感じでした。
今さらですが、今回はアウディを他のドイツ車と比較し、その特徴を浮き彫りにします!
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アウディの経営哲学を徹底分析!
オリンピックシンボルにも似たアウディのエンブレムは、「Four Silver Rings(4つの銀の輪)」と呼ばれます。
4つの輪は、現在のアウディの母体が4つの自動車メーカーだったことに由来します。
アウディは、創業期を除き、常に他の自動車メーカーと手を組みながら歴史を重ねてきました。
そのため、独自ブランドとしての印象が薄く、日本ではどこの国の車かわかりづらいといった状況が生まれた可能性があります。
そこでまずは、アウディの歴史や経営哲学をしっかり確認しておきましょう!
アウディの歴史とは?
アウディ創業者のアウグスト・ホルヒは、ベンツで工場長を務めた人物です。
その時の経験が役立ったのか、アウディの車は創業時から評判だったようです。
しかし、小規模な会社だったこともあり、第1次世界大戦後に3つの自動車メーカーとアウトウニオン(自動車連合)を結成します。
第2次世界大戦後に再び困難に直面し、今度は創業者と縁が深いダイムラー・ベンツが買収しますが、1964年にはフォルクスワーゲン・グループの傘下に入ります。
それ以降は、安定的にアウディ・ブランドの確立を進めてきました。
このように、アウディは他の自動車メーカーから目を付けられやすかったわけですが、それだけ確かな技術力を持っていたということです。
アウディと日本
日本では、アウディがどこの国の車かあやふやな時代が長く続きましたが、それは日本法人の設立が比較的遅かったことにも起因します。
1992年まで、アウディの輸入を担っていたのは大手輸入車ディーラーのヤナセでした。
1992年にフォルクスワーゲンアウディ日本が設立され、1998年にはアウディジャパンとしてアウディの輸入・販売部門が独立します。
こうして、アウディを専門に手がける日本法人が誕生したのは1990年代であり、アウディがどこの国の車か広く認知されるようになったのも、その頃と言えます。
その後、部門の分離や株式移転等があり、2022年にはフォルクスワーゲングループジャパンに吸収合併されました。
現在では、日本でも同社の1部門としてアウディが取り扱われている状況です。
旧アウディジャパンの時代にはTVCM等も見かけましたが、最近は再び露出度が減っているようにも感じます。
日本において、再びアウディが「どこの国の車?」とならないか、若干心配ではあります。
アウディらしさはどこから生まれる?
ここまで見てきたように、創業期の短期間を除き、アウディは他のドイツ車メーカーとは切っても切れない関係にあります。
そうすると、個性が埋没し、それこそどこの国の車かわからなくなりそうです。
ところが、多少車に詳しい人であれば、アウディらしさは容易に感じられます。
エンジン音や走りのほか、エクステリアやインテリアといった装飾まで、車名を伏せられても判別することができます。
国産車だと、結構難しい場合もあるのではないでしょうか。
たとえば、日産と三菱の軽自動車を見分けることは、かなりの車好きでも熟練の技でしょう。
つまり、他のドイツ車とは明らかに異なるアウディらしさは、ダイムラー・ベンツやフォルクスワーゲンと一緒になっても、綿々と守られてきたのです。
アウディと他のドイツ車を分けるもの
ここでは、アウディらしさを具体的に探ってみましょう。
アウディの個性というのは、他のドイツ車との比較によってこそわかるものです。
ここでは、アウディと縁の深い他のドイツ車と比較しながら、アウディらしさを浮き彫りにしましょう。
アウディとフォルクスワーゲン
冒頭で、アウディとフォルクスワーゲンの価格帯は近づきつつあると述べましたが、それでも違いは大きいものです。
最近の平均的なレートで考えると、アウディでは1千万円を超える車種も複数あります。
しかし、フォルクスワーゲンの場合は、高くても600万円前後です。
アウディがフォルクスワーゲン・グループの傘下企業となって、すでに60年近くです。
アウディらしさが失われても不思議ではない時間軸ですが、フォルクスワーゲンとの区別は、今でも容易です。
外観の印象にしても、シャープさが際立つアウディに対し、フォルクスワーゲンは丸みを帯びた親しみやすさが特徴です。
このように、同一の企業連合の中でブランドの違いを決して失わせなかった努力は、日本の自動車メーカーにも見習う点があると言えます。
アウディとメルセデス・ベンツ
アウディの創業者とも縁の深いメルセデス・ベンツとの違いは、明確な特徴と言うよりも雰囲気かもしれません。
メルセデス・ベンツの外観は、特徴的なエンブレムを除けば、取り立てて具体的な特徴があるわけではありません。
しかし、何とも言えない気品を漂わせています。
伝統的に欧州各国のVIP専用車に採用されてきたため、静粛性が重視されています。
これらの点から、アウディが持つシャープさや力強さとは対極に位置すると言えます。
アウディとポルシェ
あらかじめ断っておけば、ポルシェには明確にポルシェらしさがあります。
素人でもわかるポルシェらしさに、異論を差し挟む余地はありません。
問題はアウディで、TTやR8といったスーパーカーがあるものの、こうしたスーパーカーになるとアウディらしさが希薄になります。
これでわかるのは、アウディらしさとは、メルセデス・ベンツとは違った意味での高級車像にこそあり、決してスーパーカーに現れるものではないということです。
現在では、ポルシェもフォルクスワーゲン・グループの傘下企業であり、その点ではブランドの違いが意識される状況ではあります。
ぜひとも絶妙なアウディらしさを、これからも大切にしてほしいものです。
アウディって、どこの国の車?他のドイツ車と徹底比較!【まとめ】
今回は、あらためてアウディらしさに焦点を当て、他のドイツ車との比較もふまえながら考えてみました。
アウディは、日本で本格的に売り込むタイミングが遅かったため、認知度が上がるのにも時間を要したと言えます。
しかし、今ではどこの国の車かあやふやだという人の方が少数派だと思われます。
自動車の電動化が進むにつれて、自動車メーカーは個性を守るのが難しくなるだろうという意見もあります。
しかし、アウディらしさが消えることなく守られてきたことを見ると、自動車の電動化が進んでもメーカーの個性は守られるでしょう。