今回はトラックドライバーの運転技術が最も影響するクラッチについて解説します。
私はトラックディーラーに18年間勤務し、沢山のクラッチに関係する修理を診てきました。
結論、クラッチの寿命はドライバーの乗り方によって決まります。
クラッチの早期摩耗で車両に異常があるのでは?
と言われたこともありましたが、原因は運転が下手なだけか操作方法が間違っていることがほとんどでした。
トラックのクラッチオーバーホールは安くても20万以上の費用がかかります。
運転操作に気をつけるだけでクラッチが滑る確率を抑え、寿命を延ばすことができます。
無駄な費用や時間を少なくするためにもクラッチの使い方を学んでクラッチの寿命を延ばしましょう。
Contents
トラックのクラッチの寿命を縮めるNG操作3選!
クラッチの寿命に関係する運転技術、荷物、路面状況。
中でもドライバーの運転操作は1番重要です。
クラッチを1000kも乗らずにダメにするドライバーもいれば、10年以上長持ちさせるドライバーもいます。
ここではクラッチの寿命を縮めるNG操作を紹介します。
実際の現場で多かった要因です。
発進段が3速以上
乗用車の発進段は1速からですが、空荷の状態だとトラックは2速発進が普通です。
積載時や坂道で発進する時には負荷が大きいので1速で発進します。
この使い分けをできていないことや、発進ギヤを間違えて入れてしまう操作ミスがクラッチの滑る原因に繋がります。
クラッチペダルに足を乗せたまま
運転中にクラッチペダルの上に足を乗せたまま走行するのは、常に半クラッチの状態と同じような状況です。
クラッチの本体部に負荷が掛かっているため偏摩耗が発生します。
これがクラッチペダルのジャダー(振動)につながりクラッチの寿命を短くします。
停車中にクラッチペダルを踏んでいる
停車中にクラッチペダルを踏んだままにしていませんか?
クラッチペダルを踏んだままにするとレリーズベアリングという部品に負荷がかかりベアリングが早期摩耗し異音が発生します。
信号待ちなどの停車時にはギヤをニュートラルでクラッチペダルから足は離しましょう。
トラックのエア漏れはクラッチの寿命に関係する?
クラッチを踏むとエアー漏れするのはクラッチ本体の異常ではなくクラッチのコントロール系統の異常です。
トラックのクラッチを作動させるには大きな力が必要になります。
クラッチブースター(倍力装置)がないと踏むことはできません。
ブースターを作動させるのにエアーを使っておりこのエアーが故障により漏れているのです。
エアー漏れを起こすとクラッチが踏めなくなることでギヤーの操作ができなくなります。
クラッチの寿命に影響を及ぼすことは少ないでしょう。
トラックの異常を知らせるサイン!クラッチのオーバーホール時期とは!?
クラッチが原因の路上故障は少なくありません。
クラッチが故障する前に定期的なオーバーホールが大切です。
適正なクラッチオーバーホール時期はいつなのか。
クラッチの異常を知らせるサインやクラッチオーバーホール時期が近い症状を紹介します。
以下の場合は早めの点検、修理を実施しましょう。
クラッチペダルを離すと上の方でしかつながらない
クラッチの調整時期かクラッチ残量が少なくなっています。
滑る前に対策をしましょう。
クラッチ残量が少ない
点検や車検時などにこのような報告を聞いた時にはオーバーホールを検討しましょう。
クラッチペダルが重たい
クラッチ本体の動きが悪くなっている恐れがあるため早めの点検を実施する。
クラッチペダルにジャダーが起こる
クラッチに偏摩耗が発生しています。
クラッチ以外の交換部品が増えてしまう恐れがあるので早期のオーバーホールを実施する。
クラッチを踏んだ時に異音がする
ベアリングが破損する前兆なのですぐに修理しましょう
この記事はトラックのオートマが乗りにくいと言われている理由について解説しています。 私はトラックディーラーに勤務し、修理とフロント業務を18年間経験しました。 トラックのオートマが乗りにくいのは何故なのかディーラー側の目線になってお伝えします。 オートマの運転方法は簡単ですが、...
トラックのクラッチの寿命を縮めるNG操作とは?【まとめ】
クラッチについて知識は広がりましたか?
クラッチの寿命にはドライバーの乗り方が1番影響します。
車両が原因でクラッチが滑ることはほぼありません。
最近のトラックは排気量が小さくクラッチにかかる負担が大きくなっています。
ドライバーのクラッチ操作にも影響してきます。
運転が不安な場合はオートマやセミオートマを検討するのも良いと思います。
今回の記事を参考にしてクラッチの早めのオーバーホールや運転技術のレベルアップに取り組んで下さい。
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