自動車の電動化が世界的に推進されていますが、まだまだ多数派とはなっていません。
2035年以降にガソリン車の販売を禁止する方針だったEUも、2023年3月にその方針を撤回しています。
そこで、引き続き重要となるのがエンジンのメンテナンスで、特にエンジンオイルの交換は必須の作業です。
そのエンジンオイルですが、社外品でも大丈夫なのでしょうか?
そもそも、純正品と社外品の違いとは何なのでしょうか?
こうした問題は、特に輸入車で悩むところです。
そこで今回は、日本でも人気の高いアウディを例として、エンジンオイルの純正品と社外品違いを丁寧に見ていこうと思います。
Contents
アウディのエンジンとエンジンオイルの特徴とは?
エンジンオイルを定期的に交換しないと、エンジンを早く傷めます。
特に、アウディを含む輸入車の場合、エンジンオイルの交換が重要となります。
*アウディのエンジンにメンテナンスが欠かせないワケ
輸入車は、それぞれのメーカーの母国の事情に合わせて設計されているため、必ずしも日本の事情に適合しません。
たとえば、車幅があまりに広いと、日本の多くの駐車場では窮屈になるといった事例が挙げられます。
そして、初心者は見過ごしがちですが、エンジンの故障にも十分な注意が必要です。
日本のようにアップダウンの激しい国土で、しかも夏と冬の寒暖差が大きい国は比較的珍しく、輸入車のエンジンを酷使する要因となります。
だからこそ、エンジンオイルの定期的な交換が欠かせません。
アウディの母国はドイツですが、ドイツの国土はおおむね平坦で、気候も比較的温暖です。
そのため、日本で走行すると、思いのほかエンジンを酷使するのです。
*欧州のエンジンオイルは厳しい審査をパス!
エンジンオイルは、エンジンの動きをなめらかにするとともに、エンジンをきれいにする、冷やす、錆(さび)を予防するといった効果を持ちます。
そのため、欧州の地形や気候を前提としたアウディを日本で走行させる場合、エンジンオイルにもより一層の効果が求められます。
欧州自動車工業協会が定めたACEA規格に合致したエンジンオイルと認証されるためには、世界的にも厳しいチェックをクリアしなければいけません。
そんな欧州で開発されているアウディの純正エンジンオイルですから、当然ながら高い効果を持ちます。
日本法人であるフォルクスワーゲンジャパンの公式発表によると、アウディの純正エンジンオイルは、最長で2年、あるいは3万kmの走行に耐えられます。
そのため、日本法人はアウディ正規ディーラーでのエンジンオイル交換をすすめています。
*アウディの純正エンジンオイルは何がすごい?
ご存知の方も多いかもしれませんが、日本では、エンジンオイルの交換目安は半年、あるいは走行距離5千kmまでと言われています。
ですから、アウディの純正エンジンオイルの効果が本物だとすれば、その効果は抜群です。
他方で、かなり値が張ります。
アウディの純正エンジンオイルは、1リットルで約3,500円前後です。
必要量は車種にもよりますが、A4以上やQシリーズの場合、4リットル以上は必要となります。
しかも、そこに工賃がプラスされるわけですから、純正エンジンオイルはそれなりのコスト負担を強いられます。
コスパ意識の強いユーザーであれば、ポイント制度その他の特典も考慮すると、社外品でも大丈夫と考えるはずです。
つまり、長持ちするからと言って、社外品とトントンとは言えないのです。
調べてみると、アウディの純正品よりも長持ちするとうたっている社外品もあるほどなので、わざわざ純正品を使用するユーザーは少数派と言えます。
アウディにふさわしい社外エンジンオイルは何?
アウディにとって社外品となるエンジンオイルを使用しても問題ないばかりか、得になる場合もあります。
ここでは、アウディにふさわしい社外品を選ぶコツを見ておきましょう。
*日本製の社外エンジンオイルの特徴とは?
先ほど、ACEA規格の厳しい審査に触れましたが、公益社団法人自動車技術会が認定する日本の規格であるJASO規格も、決して負けてはいません。
日本独自の技術が発達することをガラパゴス化などと嘲笑する向きもありますが、エンジンオイルに限ればポジティブな意味で当てはまります。
日本の自動車メーカーは、各社でエンジンの性能を競い合い、その結果として各社各様の進化を遂げました。
そのため、JASO規格ではエンジンオイルの基準も細かく定められているのが、ACEA規格との大きな違いです。
社外エンジンオイルの方がふさわしいと言う方の根拠も、そこにあります。
*社外品でも大丈夫と言えるためには?
エンジンオイルを選ぶ際の代表的な基準は、粘度(粘り気)と原料です。
低粘度のエンジンオイルは、エンジンにかける負荷が小さく、燃費が優れていることに加え、寒冷な気候にも強いのが特徴です。
それに対し、高粘度のエンジンオイルは、粘り気が強い分だけエンジンの保護効果が抜群で、エンジンの性能をフルに発揮させられるのが特徴です。
こうした違いから、低粘度のエンジンオイルは、寒冷な地域で乗る方、あるいは短距離の移動でしかマイカーに乗らない方に向いています。
他方の高粘度のエンジンオイルは、長距離の移動や高速道路の利用が多い方、あるいは高性能のエンジンを搭載したマイカーに乗る方に向いています。
次に、原料を基準にすると、鉱物油と合成油に大別されます。
一般的なイメージには反するかもしれませんが、鉱物油より合成油の方が高品質です。
さらに合成油は、全合成油と部分合成油に細分され、全合成油が最高品質です。
*アウディにふさわしい社外エンジンオイルとは?
エンジンオイルは社外品でも大丈夫ですが、アウディにふさわしい社外エンジンオイルを選ぶ際は、エンジンオイルの粘度を表す記号の意味を知っておくべきです。
エンジンオイルの違いは、冬の粘度と高温時の粘度を「―(ハイフン)」でつないだ記号で見分けられます。
どちらの数字も、小さいほど低温に強く、大きいほど高温に強いことを表します。
アウディの車種ごとの推奨粘度は、取扱説明書でしっかり確認しましょう。
一般的には、馬力のある高級車種であるほど推奨粘度が高く、価格も上がります。
以上の点で、アウディにふさわしい社外エンジンオイルはだいたい選べますが、もう1つ、VW504/507規格についても触れておきましょう。
VW504/507規格とは、アウディが属するフォルクスワーゲングループが公的に認証したエンジンオイルに与えられる規格です。
つまり、この規格に適合していれば、社外エンジンオイルでもほぼ大丈夫というお墨付きになります。
社外エンジンオイルを選ぶ際は、この点も見るとよいでしょう。
アウディのエンジンオイルは社外品でも大丈夫?【まとめ】
今回は、アウディにふさわしいエンジンオイルとして、純正品が絶対よいのか、それとも社外品でも大丈夫なのかという点を検討しました。
一見すると純正品の方がふさわしいように思えますが、実は日本の環境に合わせた社外品の方がふさわしい場合もあります。
特に寒冷地が当てはまり、寒冷地にお住まいの方は社外エンジンオイルを使うのも正解かもしれません。
ただし、自動車メーカーから発表されている推奨粘度から大きく逸脱することは得策ではありません。
エンジンオイルの違いは、結局は粘度と原料に求められますから、この2つの基準は必ず守りましょう。
廉価な社外エンジンオイルを簡単に選ぶのではなく、店舗のスタッフにも確認しながら、コスパのよい社外エンジンオイルを選ぶようにしましょう。