若者の車離れが進んでいるなどと言われています。
しかし、採用条件に自動車運転免許を挙げている企業・団体は今も多いですし、地方ではなおさら、車を運転できないと生活や仕事が成り立ちません。
他方、都会の若者たちにもドライブの楽しさを教えたのが、例のコロナ禍だったでしょう。
公共交通機関では決して味わえない楽しさが、ドライブにはあります。
もちろんトラブルも付き物ですが、そうしたトラブルへの対処法も含め、今回はドライブが楽しいのはなぜなのかを考えてみました。
ドライブの楽しさには、運転が好きなのか、それとも車が好きなのかという二者択一では捉えられない奥深さがあります!
Contents
ドライブを楽しいのはなぜ?
そもそも、若者の車離れが進んでいるという認識は正しいのでしょうか?
まずはデータを見ながら、その点を冷静に検証しましょう。
*日本人は本当にドライブしなくなったの?
内閣府は、かつて「余暇と旅行に関する世論調査」を実施していました。
当時は祝日をもっと増やすべきではないか、日本人は働きすぎではないかなど、いろいろ議論されていましたので、政府の関心も高かったのです。
残念ながら、同調査は2002年が最後となりましたが、余暇の行動も尋ねており、選択肢に「ドライブ」もありました。
2002年時点で、平日の場合2.4%、週末等の休日の場合10.9%、3日以上の連続した休日の場合14.0%の方が、ドライブに出かけると回答しました。
かなり少ないように見えます。
ところが、公益財団法人生命保険文化センターの2022年調査によれば、余暇の活動としてドライブを挙げた人数は5位で、参加人口は約3,300万人と推定されています。
全人口の約26.4%ですから、決して少なくはありません。
さらに、日本生産性本部の2022年調査では、やはりドライブが余暇活動参加率5位で、約34.6%に上り、2021年より増えています。
このように、社会調査はサンプルの数や属性によってかたよりが出るため、何種類かを見渡す必要があります。
少なくとも、趣味の一環としてドライブを挙げる人は、むしろ増えています。
では、車離れは若者に限った現象なのでしょうか?
*若者だってドライブは楽しい?
国土交通省が発表する各年度の『国土交通白書』でもたびたび言及されていますが、若者の車離れという言説は、若者の自家用車保有率が低下傾向にあるという一面だけを切り取ったものです。
依然として、若者の運転免許保有意欲は高いですし、機会があれば自家用車を手に入れたいという若者のニーズも高いのです。
考えてみれば、自動車の運転免許を取得できるのは18歳からですし、若い頃は所得も少ないですから、自家用車を入手しにくいのは当たり前です。
他方で、最近はレンタカーやカーシェアリングも利用しやすくなりましたから、自家用車を保有していないから車離れと結論づけるのは、短絡的すぎます。
*コロナ禍が再認識させたドライブの楽しさ
エビデンスが皆無に近い「若者の車離れ」という言説を広めた方々には、何か裏の意図があるのではないかと疑ってしまいますが、ここでは深入りしないことにします。
いずれにしても、昨今まで世間を騒がせたコロナ禍は、若者を含め、幅広い世代にドライブの楽しさを再認識させることになりました。
公共交通機関と違い、自家用車であれば、周囲に迷惑をかけない限り、音楽を流したりしても文句は言われません。
ダイヤグラムに行動が制約されることもありません。
こう言うと、環境保護意識が希薄だとか、公共性の欠如だとか、いろいろ批判する方もいます。
しかし、自動車の電動化が進められているのは周知の通りですし、そもそも19世紀まで、人間は徒歩や動物等で旅をしていたのですから、自家用車による旅は原点に回帰したにすぎません。
先ほど紹介した世論調査の結果は、いずれも最新の意識を反映していると言えるでしょう。
ドライブは楽しいのはなぜなのか?
最近は、あおり運転等が社会問題化していることもあり、ドライブを楽しいと思えない方も多いと聞きます。
しかし、実はあおり運転等の迷惑行為は、モータリゼーションが進んだ1950~1960年代には、すでに問題化していたのです。
昔の映画やドラマを観ると、平気で荒っぽい運転をしたり、平気でクラクションを鳴らしたりするシーンに出くわすことがあります。
あの頃に比べれば、今の道路は本当に整然としています。
昔であれば泣き寝入りせざるを得なかったいざこざも、今ではドライブレコーダーに記録できます。
ですから、今の時代の方が恵まれていると思い直し、ぜひドライブの楽しさを知ってほしいと思います。
運転が好きだから?
なぜドライブは楽しいのでしょうか?
もちろん、好きな時間にどこへでも行けますし、荷物もたくさん積めますから、公共交通機関より重宝するのは当たり前です。
まずは買い物や旅行を除外し、特に目的がない純粋なドライブのみ考えます。
その場合、ドライブが楽しい理由は2つ考えられます。
1つは運転が好きだからという理由、もう1つは車が好きだからという理由です。
1つ目の理由は、まさにドライブを趣味とする場合の王道的な理由です。
競馬や競艇に熱狂する心理にも共通しますが、人間は自分の思い通りに操作することに喜びを感じるのです。
ですから、なぜ運転が好きなのかと問われれば、まさに「楽しいから」としか答えられないのです。
運転が好きとだけ言うと、「公道で飛ばすのか」といった理不尽な批判をぶつけてくる方もいますが、決してそうではありません。
たとえば、発進を緩やかにしたり、一定速度で走ったりして、エコドライブに貢献するというのも、まさに運転が好きという部類に属するのです。
車が好きだから?
2つ目の理由は、一種の収集癖に共通するもので、所有することで感じる楽しさの延長に位置づけられます。
つまり、車が好きという理由は、より具体化すると車を所有し、走らせることが楽しいという心理状態です。
タレントのビートたけしさんが、売れ出した頃に高級外車を複数台購入したものの、自分で運転すると走行シーンが見られないため、弟子に運転させて自分はタクシーで追いかけたというエピソードは有名です。
実は、自家用車を保有する動機に、移動手段が欲しいという「合理的理由」だけではなく、自動車そのものが欲しいという「非合理的理由」もあることは、専門家の間で知られています。
ですから、なぜドライブは楽しいのかと問われて、運転が好きだからと答える方はゲーマーと呼べるのに対し、車が好きだからと答える方はコレクターと呼ぶこともできるでしょう。
ドライブが楽しいのはなぜ?【まとめ】
今回は、なぜドライブは楽しいのかをテーマに、その楽しさの根源を探ってみました。
運転が好きか、車が好きかの二者択一で捉えられがちですが、車で移動するのが好きという理由もあるでしょう。
たとえば、旅が好きだとしても、障害をお持ちの方やご高齢の方は、なかなか公共交通機関での旅に不便を感じるでしょう。
その点、たとえば誰かが運転する自家用車に乗せてもらえれば、気兼ねなく旅を楽しむことができます。
つまり、ドライブとは、何も自分で運転しなければならないわけではなく、自動車での移動そのものを楽しむ行為です。
環境保護と結び付けて自動車を批判する方には、そうした利点が見えていません。
ぜひもう一度、ドライブの価値を見直し、本当の意味での明るい未来を考えてみませんか?